vol.02

株式会社三共
専務取締役 吉川 賢さん
さわやか課 佐野 茂さん 年齢:71歳(取材時)
取材時:2021年10月

廃棄物の処理を通じて、遠州地域の皆様のお役に立てられるよう努めております。
1952年に創業し、おかげさまで12月に69周年を迎えます。ご家庭からお店、企業のお客様まで、幅広く対応しております。

高齢者雇用に対する方針や考え方を教えてください。

廃棄物を集める仕事は大変です。夏の炎天下の中、手作業でトラックに積み込む作業は重労働で、臭いや汚れに悩まされるものです。このような大変な仕事に、長年に渡って一緒に取り組んできてくれた社員を、大切にすることが経営理念であり、社是でもあります。

社長が朝礼や会議の場で、頻繁に社員に語りかける言葉の1つをご紹介します。
「自分でこの人生を選んで生まれてきたのだから、どんなことにも不平不満を言わずに、感謝をする。自分を無くして、他のために生きる。」
人が不要になって捨てたものを、きちんとトラックに積んでいく作業は大変です。それが仕事とはいえ、「他のために生きる」という気持ちを持つことができなければ、毎日毎日、何十年も続けることは困難です。また、お客様は年中無休でいらっしゃるので、社員が交代で休みを取りながら、年中無休で回収を行っています。「他のために生きる」という想いで仕事を続けた社員が、定年を迎え、働き続けたいという意志を持っているときには、その意志を尊重し、仕事が続けられるよう取り組んでいます。
専務取締役 吉川さん

高齢者が働きやすい職場づくりの工夫を教えてください。

当社では、現在、従業員のうち65歳以上が12名在籍しており、70歳以上も9名が元気に働いています。

高齢者が働きやすいように、本人の体力を考慮することはもちろん、本人の意向を汲みながら、どのような仕事が適切であるか決めています。作業内容の見直しや人員配置の工夫を行うことで、体力や健康状態に合った業務分担となるよう努めています。

また、勤務時間や勤務日数、退社時間等も話し合い、短時間勤務も可能とするなど、柔軟な働き方ができるよう環境整備をして、高齢者が無理なく働けるよう配慮をしています。
また、高齢者に限らず、病を患って通院が必要になる社員もいます。そのような社員も含めて、個々の状況に見合った作業内容となるよう、常に見直しを行い、共に良い汗をかいて「他のために生きる」ことの喜びを分かち合える関係を築きたいと常々思っています。
さわやか課 佐野さん

実際に働いている感想や働くことへの思いを教えてください。

業務についた当初は、土地勘が無いところでドライバーとして働き始めたので、先輩に助手席に乗ってもらい、道を教えてもらうところからのスタートでした。当時私は20代前半の若手で、お客様のところで石箕を使って手作業でおが屑をダンプトラックに積み、毎日3台分運ぶという仕事から始めました。パッカー車(廃棄物収集車)がまだ世の中に無い時代だったので、トラックの荷台側面に板を立て、その向こうに重いものを積み込む作業は大変でした。当時のトラックはハンドルが細く、パワーステアリングも無く重かったため、1日運転していると手が強ばってしまい、毎日手を開いて良く揉んだことを覚えています。当時の社員は10人程度でしたが、今では120人以上となりました。

トラックを運転し、ひとりで廃棄物を手で積み込み運ぶ仕事を長く続けてきましたが、59歳で体調を崩した時、家庭ごみを回収する部署に異動しました。家庭ごみの回収は二人一組で行うため、そのドライバーになりました。二人で協力し合えば、3にも4にも5にもなります。協力しないで一人でやっていれば2のままです。お互いに思ったことを口にして、後腐れのないように接してきました。68歳になったときにドライバーから助手になりました。助手は運転しませんが、バック走行時の誘導や、助手席からトラックの左側をよく見るなど、やることが沢山あります。現在は、平日の週5日フルタイムで働いており、入社50年目となる来年11月まで勤めることを目標にしています。

この仕事を長く続けられた秘訣は、仕事を好きになること、物事を良い方向へ考えることでしょうか。目標に向かって、後ろを見ず、前を向いて良い方へ、良い方へと考えていくことが大切だと思っています。
さわやか課 佐野さん